第35章 約束
「三人⁈嫁…さ、三人…⁈てめ、テメェ…‼︎なんで嫁三人もいるんだよ‼︎ざっけんなよ‼︎」
びーびーびーびー…うるせぇ餓鬼に俺の堪忍袋の尾も切れて拳を握り締めると目の前で目をひん剥いて抗議をしてくる黄頭に鉄拳を喰らわせてやった。
俺は上官だぞ⁈
それも柱だ。
ほの花を後手で守るようなその態度にも腹立たしいと言うのに、よく見たらコイツはあの鰻屋の行った時にほの花に纏わり付いていた奴じゃねぇかよ。
ただでさえ苛ついていたというのに、ほの花が関わると俺の沸点はどうかしてしまうのだろうか。
黄頭を睨みつけて「何か文句あるか?」と凄んでやればもう誰も俺に楯突く奴はいなかった。
鉄拳を喰らってのびている黄頭を心配そうに見つめるほの花の手を引き、自分の後ろに隠すと「此処にいろ」と鋭い視線を投げつけた。
文句の一つや二つ言いたそうなほの花だったが、俺のその視線に一つ息を吐くと頷いた。
「あの…来る時は極力目立たぬようと何度も念押しして書かれているのですが具体的にはどうするんですか?」
困惑しながらも竈門に再び視線を向けると話の続きをすることにした。
「そりゃまぁ変装よ。不本意だが地味にな。お前らはあることをして潜入してもらう。」
俺はまず自分の嫁についてちゃんと話すべきだと思い、一つずつ話してやることにした。
三人は優秀なくのいちであること。
俺が潜入した時には尻尾を掴めなかったからさらに内側に入ってもらうために潜入してもらったこと。
既に怪しい店は三つに絞っていること。
「嫁一人につきほの花の元護衛達を配置してあるのにそいつらとも連絡が途絶えた。」
「え…?!ほの花の?!そ、そっか…」
竈門達は一体ほの花のどこまで知っているのだろうか。
この反応だと陰陽師の里出身のことまで知り得ているのだろう。
チラッと後ろを向けばほの花が曖昧に笑い、竈門を見ていた。
(…目で会話すんなっつーの。)
見たところコイツら全員とほの花は恋仲ではないようだ。
ただの同期なのは分かるが、自分が知らないほの花を知っているのかと思うと何とも嫌な気分になった。