第35章 約束
やっと筋肉の化け物のおっさんとほの花に追いついたが、涼しい顔をして外で俺たちが到着するのを待っていたことに柱との実力の差を思い知る。
傍らにいたほの花が労ってくれるけど、後ろから針で突っつくような辛辣な視線と痛いくらいの怒りの音を出すのをやめてほしい。
「ったくよぉ、遅過ぎんだろ。先が思いやられるぜ…」
そりゃあほの花を抱えて走ると言う負荷があったにも関わらず負けたのは腹立たしいが、元より勝てるとも思っていなかったのだから仕方がない。
藤の家の家紋の家は鬼殺隊を無償で手助けをしてくれるのは知っているけど、到着した途端に偉そうに指示を出し始める宇髄さんと言う人にバレないように睨みつけてやる。
「善逸、大丈夫?」
「大丈夫!ほの花も大丈夫だった?!」
ただの世間話。
少しほの花と話しただけなのにチラッとこちらを見る宇髄さんに呆れることしか出来ない。
(…そんなに気になるなら手元に置いておけばいいのに…って、無理か。)
この二人が元鞘に収まれば全ての歯車が噛み合って動き出すのは間違いないのにどうすることもできない歯痒さにため息を吐いた。
ひとまず、部屋で作戦会議としけこむことになった俺たちは藤の家の人に案内されて大きめの部屋でおっさんの話を聞くことにした。
ほの花からのはおっさんのことは聞いているし、記憶がないところに関しては話を合わせるつもりだった。
ほの花の不利になるようなことは言わないと三人とも心得ている。(伊之助は若干心配だが)
だからまさかおっさんの口から発せられた言葉で身体中の血液が沸騰するのではないかと思うほどの怒りを感じることになるとは思いもしなかった。
「遊郭に潜入したらまず俺の嫁を探せ。俺も鬼の情報を探るから。」
嫁のために部下を使おうとしたと言うこともだけど、ほの花の前で簡単に嫁とか言ってしまう目の前のおっさんに拳を握りしめた。
仕方ないことだ。
ほの花とのことは無かったことにしたのは。
でも、あんな音をさせながらも嫁を作ろうとしていたのか?
ひょっとしてほの花のことは不義を働こうとでもしていたのか?
怒りで全身が震えた。