第35章 約束
宇髄さんと一緒に生き残れたら必ず一連のことを伝える。
それは瑠璃さんと約束したのだから守りたいと思う。
でも、その約束を守るためには絶対に私はそれまでの間"ただの継子"でなければならない。
"守るべき対象"であってはならない。
「…何、言ってんだよ…。お前は…俺の、継子…」
「そうです。"ただの"継子です。たった一度体の関係を持ったからと言って情を持つ必要はありません。」
「じょ、情…、だと?」
「奥様達から聞きました。命の順序の話を。」
嘘。
本当はあなたから聞いたの。
でも、もうなりふり構っていられない。
宇髄さんがなりふり構わずにアオイちゃん達を連れて行こうとした理由なんて明白だ。
場所は遊郭。
そして女にこだわっていた。
…と言うことは…
「…奥様達が危ないんですね?私にお任せください。必ずやお助け致します。」
正宗達もいながら危ないかもしれないのであれば…宇髄さんが予想していた十二鬼月は最早確定かもしれない。
「あなたが守るべきは私ではありません。今、考えるのは奥様達の命だけ。継子のことではありません。どうか命の順序を思い出して賢明な判断を…」
「…ほの花。」
「もちろん正宗達も助けなければいけません。彼らは私の元護衛ですから。」
私たちの関係性はこの戦いが終わるまでは決して変えるわけにはいかない。
それこそが私が最も重要視していたことなのだから。
宇髄さんのお荷物にならない。
守ってもらわない。
彼の命の順序を崩さない。
私はただの継子だ。
彼の中にこれ以上入り込んだらいけない。
「…嫁しか守るな…ってか。」
「そうです。当たり前じゃないですか。」
「お前に何かあっても…か?」
「捨て置いてください。それが出来ないならば今ここで師弟関係を解消させてください。」
元より宇髄さんとの接点が無くなることなんて覚悟の上。
彼がそれを望むのであれば仕方ない。
鬼殺隊のため、彼が私を庇って死ぬ可能性が低くなればそれでいい。
私に意識を持っていかれない方が、こちらも動きやすいのだから。