第29章 停戦協定※
激しい情交の後、結局すっかり寝入ってしまった私が起きたのは翌朝のこと。
宇髄さんの腕の中で目が覚めた。
日が昇る時間だろうか。
外は少しずつ明るさを増しているようだった。
そして、縁側に続く襖の前に干されているそのものに目が奪われた。
(…瑠璃さん、の着物…。綺麗だったなぁ…。)
干されたその美しいと着物の生地がところどころ丸く色濃くなっているところが目に入ると、ぼんやりと水でも溢したのかな?と思い、首を傾げる。
しかし、その着物が何故干されているのかと言う理由を考えれば途端に頭に浮かんだ仮説は吹っ飛んだ。
(…ちょっと待って…?水じゃないわ…。あれ…。あれは多分…)
思わず頭を抱えて項垂れていると、後ろから抱きしめてくれていた宇髄さんと目が合った。
美丈夫の顔を朝から拝めるだけでニヤける顔を隠すことはできない。
「天元…、おはよう。」
「ん…はよ。体は?大丈夫か?」
いつから起きていたのだろうか?
また朝から浮腫んだ不細工な顔を覗かれていたかと思うと…もうこれ以上の羞恥はないと思わせられる。
「あ!と…、た、たぶん?」
「まぁ、怠いのはあると思うけどよ。無理すんな。まだ5時だからもう少し寝ろ。」
そう言うと後ろから更に引き寄せられて頭の上に彼の顔が埋められた。
だが、私は昨日お風呂にも入っていないのだから匂いを嗅ぐのはやめてほしい。
しかし、抱き締められながら再び襖に目を向けて、急に思い出された其れに勢いよく起き上がる。
「う、ぉ、…っ、な、何だよ…。急に…。」
「て、天元!!き、着物…!あ、アレ!瑠璃さんの物なの!!」
「は?知ってるわ。そんなこと。それがどうした。」
"そんなもんはどうでも良いから寝ろ"と顔が物語っている彼が腰を再び引き寄せようとするので、それを回避して彼の上に乗っかる。
「ど、どうした?!どうしたじゃないよぉっ!あれ、見た?!すっごい染みできてる!!私よね?あれ!私がやったのよね?!」
貸してもらったそれは華やかな柄と色味で瑠璃さんにとても似合うと思う。貸してもらったが、私ではその着物の良さを生かすのは難しいだろう。
そして…なにより物凄く上質だと言うことはそれを一度着た私はすぐに分かっていたのだ。