第29章 停戦協定※
今にも暴れ出しそうな俺を落ち着かせようと隆元と大進が諌めてくる。
だが、そう簡単に怒りは収まらないのだ。
「あの、鋼鐡塚さんの肩を持つつもりはありませんが、ほの花様に想いを寄せたのは温泉で鉢合わせをした後だと思います。それまではそういう気はなかったかと…。」
「……そうかよ。だとしても、アイツの裸見たのは許せねぇ。」
「それに関してはほの花様も悪いので、鋼鐡塚様よりほの花様を責めてください。無防備すぎるのです。本当に。」
元主人だというのにこういう時、冷静に分析してくれることで俺も気が楽になる。こんなことをしておいてほの花を責めることに申し訳なさを感じるからだ。
しかし、そうされることで結局ほの花を責めたくないし、責めるべきではないと再認識させられるのだからこれはこれで奴らの作戦勝ちなのかもしれない。
「…まぁ、分かってて恋人にしたんだから…俺も悪かったんだけどよ。」
「いえいえ、常々ほの花様に宇髄様は勿体無いと思っていたんです。無理して我慢するくらいならそう言ってやってください。宇髄様に捨てられても仕方ないですから。」
「ちょ、ちょっと待て…!そこまでじゃねぇよ…!別れる選択肢はねぇから…!やめろよ。縁起でもねぇ…。」
流石に別れたいわけじゃないし、そんなことほの花に言おうものなら気に病んじまう。俺はほの花と別れる気はサラサラないのだから。
正宗たちは辛辣な顔をして謝ってくれるが、この会話だけはアイツに聞かれたくない。
選択肢にもないことを言われてしまうと流石に今ここにいることも憚られると言うものだ。
こんなことでも後悔するくらいならば、さっさと部屋に戻り、謝罪してほの花を抱きしめて甘やかしてやればいいだろ。
「そうですか?でも、宇髄様も一人に絞ってしまったからと言ってほの花様に固執する必要はないんですからね。」
「固執してんじゃねぇわ。……結局、俺はほの花に骨抜きなんだわ。離れられるわけねぇ。」
「それなら安心です。では…ほの花様をよろしくお願いしますね?」
ほらな、コイツらはやっぱりほの花のことを大切にしてる。俺のすべきこと、見るべき方向を正してくれた。
悔しいけど、一枚も二枚も上手なんだ。