第29章 停戦協定※
「ちょっとあとで散歩付き合ってくれない?」
「え?!だ、駄目ですよ!まだ寝てないと…!」
「わかってる。散歩行くフリをしてくれたらいいわ。」
仲直りをさせてくれるという瑠璃さんの発言には驚いたが、一瞬見た顔に昨日までは向けられていた憎悪は見当たらない。
信用しても大丈夫だと私の第六感が言っていた。
だから素直に頷いた。せっかく申し出てくれたのにそれを断るなんて申し訳ないし、そもそも宇髄さんとの仲直りの方法が思い浮かんでいるわけでもないのだ。
昔馴染みの彼女が良い案があると言うなら任せてみるのも一つだと思った。
「…散歩、行くフリをしてどうするんですか?」
「その前に準備をしないとね。私の部屋に来て。」
「??は、はい!」
促されるがまま立ち上がると彼女の部屋、基、私の部屋に向かう。
散歩に行く準備とはどういうことなのだろうか。たかが散歩に準備?
部屋に入ると襖の中から綺麗な色の反物を出してそれを私に合わせた。
あまりに煌びやかな反物に目を奪われるが、私では着こなせなさそうな色合いにやはり瑠璃さんはこういう華やかな反物が似合うんだなぁとぼんやりと思った。
「ちょっと裾が足りないから着崩しちゃえばいいわね。」
「え…?!こ、これ私が着るんですか?!準備ってこれですか?!似合いません!こんな綺麗な色合い着たこともないんです!」
「だからいいんでしょうが。着たこともない色合いを着るって気分転換になるでしょ?」
「いやいやいや、後ろ指差されちゃいますーー!!恥ずか死にますよぉ!この着物が変なら替えてきますからぁあっ!」
まさかの自分に着せようとしていたことに驚いて必死に拒否するが、そこは完全に無視されると帯を外される。
気分転換させてくれようとしてくれるのはありがたいが、逆に気分が滅入りそうだ。
こんなの着て、通行人に指差されて笑われたらこの近辺で生きていけない。
それこそ出て行きたくなってしまう。
え…?!まさかそれが狙い…?!
「る、瑠璃さん…!まだ私の事、認められないんですか?!それなら別の方法で決闘を…!!」
「あんた馬鹿?もうとっくに認めてるわ。煩いから黙ってなさい。」
え?認めてくれてるの?
その発言にほっと一息ついたが、どんどん脱がされる着物に頭がついていかなかった。