第29章 停戦協定※
「はっきり言うけど、あんた"も"悪い。というかあんた"が"元凶。」
ビシッとほの花に向けて指を差してみれば、明らかにしょんぼりするその姿にため息を吐く。
こう言うところも狡い。この子は一挙一動が何故か目を引く。放っておけないというか人を惹きつける魅力があるのだ。
だから天元もきっと男心が分からないところは目を瞑っている節もある。
「…やっぱ、そうですよね…。私、宇髄さんとしか男性と恋をしたことがないから…すぐに間違えちゃって…。」
そうか、それなら仕方ないかもしれない。
天元としか恋をしたことないなら……
ん…?
聞き間違いだろうか?
今日は風邪気味だから耳がおかしいのかもしれない。
「…ちょっと聞き取れなかったわ。何て言った?」
「へ?あ、…私、宇髄さんとしか恋したことないので、すぐ失礼なことしちゃったりするみたいで…。」
"宇髄さんとしか恋したことない?"
間違いなくこの子が言ったの?
こんな容姿で?
は?
「…ちょ!ちょっと待って…いくらなんでも私を騙そうとしてる?」
「え?何を騙すんですか?」
キョトンとして意味がわからないと言った顔をしているほの花の目は本気だ。
少しの動揺も見られない様子が発言した内容は真実なのだと物語っている。
「…本当に…?あなた…、天元以外、知らないの?」
「??はい。宇髄さんは私の初めての恋人です。私…全然男性に見向きもされなくて…。彼に拾ってもらわなければ危うく一生独り身でした。」
…ということは天元はこの子の"初めて"を全てもらったと言うことで、ほの花は天元以外知らないと言うこと。
男心を察しろと言っても経験がなければ分かるはずもない。
「…あんた、何処の山奥出身なのよ。本当なら美人なんだから男なんて選り取り見取りだったわよ。」
「えー?!そ、そんなことないです!私、背も高いし、女として見れないと言われることが多くて…、もう半分諦めてましたよ!宇髄さんはそんな私に手を差し伸べてくれたんです。」
漸く分かった気がする。
この子の自信の無さを。
確かにほの花はすらっとしていて、上背がある。でも、背の高いことで嫌な思いもたくさんしてきたのだろう。
それがこの子の自信の無さを生み出しているのだ。