第29章 停戦協定※
困惑した表情でこちらを見て必死に情報を整理しているだろうほの花。
ちゃんと話したのは数時間程度しかない筈だが、この子はめちゃくちゃ分かりやすい。
出るわ出るわ、顔に。
思っていることが全てダダ漏れなその様子に呆れるしかない。
分かりにくい女よりも遥かにいいし、男ウケは良さそうだが、いざ恋人にするとなると男が大変だろうと思ってしまうのは他にも原因がある。
隙だらけだわ、鈍いわ、男心の理解度無いだわ…しかも容姿は淡麗と来た。
男が苦労する図しか思い浮かばない。
「…え…?こ、好意…?誰が…誰にですか?」
「だから、その武器作った刀鍛冶の男があんたに好意を抱いてるってこと。」
「……へ?!あ、あははっ!まっさか〜!私、最後も意地悪言われたくらいなんですよ!全然恋とかそう言うのじゃ無いですって!誤解です!」
全く取り合わないほの花にもう呆れるしか無い。
きっと天元にもこの調子で話したのだろう。
そりゃあ腹が立つのもわからないでもない。
「じゃあ、聞くけど。その意地悪って?」
どうせそれも見当違いな受け取り方をしているに違いない。この子にそれを察する能力はない。
「…え…、宇髄さんのこと、物好きって言ったり…、フラれたら面倒みてやるって…私が宇髄さんにフラれるみたいな言い方するんですー!」
「あー……なるほどね。」
「ね?酷いですよね?!絶対恋とかじゃないです!!なのに…何故か怒らせちゃって…。」
いや、それは完全にほの花のせいで怒らせたという見解で間違いない。
この子、可愛い顔してるけど…ひょっとして男と碌に恋愛して来なかったのだろうか。
男心を分からないのは女だから多少は仕方ないとはいえ、おそらく恋愛音痴という類の人間なのだろう。
天元はハズレくじでも引かされたのか?
いや、恋は盲目と言うし、それも含めて好きになったと言うならば仕方ないが、ほの花と恋をするなら余程広い心の持ち主でなければ、男はヤキモキするであろう。
やり方は良くなかったけど、やはり若干天元に同情してしまう。
そんな求婚みたいな物言いをされてることを堂々と恋人に言ってしまえる鈍さはもう死ぬまで治ることはあるまい。