第6章 相反☩そうはん☩感情
そして、安心させるように微笑んで見せる。
「大丈夫よ、私はここにいるから。
みんなの後悔や悲しみが薄れていくまで、………ううん。
その先だってここにいるの。だから、何も恐れないで」
そう呟くと、そのシトリンの瞳がみひらかれ、仄かに涙の膜が張る。
そして、やや熱に染まった瞳で微笑みを返された。
「ありがとうございます。
俺たちの為に、そんな風に心を砕いてくださって………、やっぱりあなたは強い女性です」
「ふふ。そんな風に言ってくれるのはあなた達だけだよ」
微笑って見せる。
けれど笑顔で拒絶するそのさまに、
その微笑に滲む仄かな棘に、フェネスは吐息を封じる。
そのおもては確かに微笑んでいるのに、
唇から零れる表情と声音から、何かを感じ取ったのだろう。
フェネスの唇が仄かにひらかれ、そして言葉を探すように再度とじられる。
「もう……。」
戸惑ったように、それでいて
悲しげな表情を浮かべたまま黙り込んでしまったフェネスを見上げ、そのおもてに指を伸ばす。
そして両の指でその頬に触れると、ぺちん、と彼の頬に軽く指を打ち付けた。
「主様!?」
「話を聴いてくれてありがとう。………もう大丈夫よ」
そう言って微笑って見せる。
けれどその両の瞳は目の前のフェネスではなく、
喪った何もかもを視ていることを思考の裾で自覚する。