第4章 繋がり
「東京校!」
その大きな声に香久夜はびくりと肩を揺らす。
「……っ」
こちらへ向かってくる大柄な男。
「俺は東堂葵!」
「……」
「お前が香久夜か!」
あまりの声量に、香久夜の身体がまた固まる。
「……あ、はい」
「噂は聞いているぞ!」
「……私の?」
「そうだ!」
その顔圧、声量。
…怖すぎる。体が固まった。
「……ごめんなさい」
「何故謝る!?」
「先輩、あんまり怖がらせないでください」
恵が遮る。
「何!?」
「声がでかいです」
「そうか?」
「でかいです」
「普通だろう!」
「普通じゃないわよ」
横から呆れたように現れたのは、魔女のような格好をした少女、西宮だった。
「ごめんね。この人、距離感がおかしいの」
香久夜は恐る恐る顔を上げる。
「大丈夫」
「本当?」
「うん」
そして東堂を見る。
「よ、よろしくお願いします」
「!」
東堂の目が輝いた。
「ほう!」
「やめてください」
恵がすぐに釘を刺す。
「気に入った!」
「だから近いって!」
京都校の何人かが笑った。
香久夜もつられて、小さく笑う。
その様子を少し離れたところから見ていた加茂が、静かに彼女を観察していた。
「……」
「加茂くん?」
そのアシンメトリーな前髪から、まんまるな目を覗かせた彼女が声をかける。
「どうかしましたか?」
「いや」
加茂の視線は香久夜へ向いたままだった。
「本当に、あの噂の少女なのかと思ってな」
その声は、すべての音をかけ分けたかのごとく香久夜の耳に一直線に入っていった。
彼女の笑顔が少しだけ消える。
「噂って……何?」
「……」
加茂は答えなかった。
代わりに、慌てて割って入ったのが水色の髪を靡かせた女の子。
「え、えっと! よろしくね!」
「うん」
「私、三輪霞!」
「香久夜です」
「知ってるよ!」
「……?」
「え、いや、その……!」
三輪が慌てる。
「噂っていうか、その……五条先生が連れてきた子だから!」
「そっか」
香久夜はあっさり納得した。
「よろしくね、三輪ちゃん」
「ちゃん……?」
「嫌だった?」
「いやいやいや! 全然!」
三輪がぶんぶん首を振る。
その横で小さく鼻を鳴らした女がいた。
「ずいぶん呑気ね」