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呪術回戦ー八月の忌み子ー

第4章 繋がり


車窓を流れていく知らない街の景色に、香久夜はすっかり目を奪われていた。

山の中で暮らしていた頃は、ただ木々を見、空を見、月を見上げるだけの日々。こんな風に広がる世界を眺めることなんてなかった。


「……すごい。東京と、違う」
「そりゃ京都だからね〜」


 助手席の五条が振り返り、楽しそうに目を細める。


「建物が低いです」
「そこ? 景観の条例があるからね。、着眼点がイイね」


 五条とのやり取りに香久夜がくすくす笑う隣で、恵は後部座席の端に深く腰掛けたまま、硬い表情で腕を組んでいた。


「で? 恵。さっきから一言も喋らないけど、地蔵の真似でもしてんの?」
「……別に。静かにしてるだけです」
「ふーん? 今朝からずっと不機嫌オーラ全開だけど?」
「っ……気のせいです」



「恵くん……どこか、具合悪い?」」
「……いや、悪くない。お前の気のせいだ」


 香久夜のまっすぐで綺麗な瞳に見つめられ、恵は居心地悪そうにそっぽを向いた。

そのすげない返事に、香久夜は「やっぱり嫌われたのかな」と寂しそうに眉を八の字に潜める。



見かねた五条が、軽快な調子で二人の間に割り込んだ。


「ねえ、京都、初めてでしょ? 交流会が終わって時間があったら、僕が美味しい湯豆腐と八つ橋の店に連れてってあげるよ」
「ほんとですか! 行きたいです!」


 香久夜のパッと華やぐ表情。その素直な反応に、恵は横目で香久夜を捉え、息を漏らした。
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