第3章 香久夜の過去
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目が覚めた瞬間、違和感に気づいた。
俺の腕の中に――柔らかい感触。温かくて、かすかに甘い匂い。
「……は?」
反射的に声が漏れる。
視線を落とせば、が俺に抱きついて眠っていた。
胸に顔を埋めて、細い腕でしっかりと俺のシャツを掴み、足は抱き枕をかかえるように俺の足に絡みついていた。
(なんで、なんで俺に……)
息が詰まる。体がこわばって、どう動けばいいか分からない。
肩越しに触れる体のやわらかさに、頭の中まで熱くなる。
視線を上に上げると、の大きな瞳お目があった。
距離が、近すぎる。息が触れるほど。
「……っ」
真っ赤な顔で、は視線を泳がせている。
俺もまともに目を合わせられない。心臓がうるさくて、どうしようもない。
「……なに、してんだお前」
絞り出すように言葉が出た。
けど――。
「え…っ、ちが、!私じゃ」
は目を泳がせて、声をつまらせた。
そのとき、部屋の扉が開く音。
「おおっと、こりゃ朝からラブラブだねぇ〜」
振り返ると五条先生が、例のくせのある笑みで立っていた。
……ああ、もう、最悪だ。
慌てて体を起こす俺に、も慌てて離れようとする。
「ち、ちがっ……誤解ですっ!」
そう言いながらはベッドから身を乗り出した。
顔を真っ赤にして勢いよく否定する。
「まぁ、起きたなら顔洗ってリビングおいで。
朝ごはんあるよ〜」
そう言って五条先生は部屋から出ていった。
二人残された部屋。
五条先生の登場で少し頭が冷えた。
…俺の、せいだ。
寝ぼけて俺は、とんでもないことをしてしまった。
なんて、謝ったらいいか…。
言葉が出ずにいると、
「……恵くん、朝ごはん…」
が声を出した。
「あ、あぁ。いこう」
…顔、見れん。