第3章 香久夜の過去
◇
夜。
同じベッドに横たわる。
近い距離に彼女の寝息があって、俺はすぐに目を閉じたけど、眠れなかったが、ひたすら目をつむった。
……気づけば、夢を見ていた。
ベッドの中、が俺に抱きついてくる。
現実ではありえないはずのその光景に、最初は戸惑った。
けど――すぐに「夢だからだ」と納得した。
夢なんだから、いいだろ。
現実じゃ絶対できないことを、ここでだけ。
腕を伸ばし、細い腰を抱き寄せる。
体が吸い寄せられるようにぴたりと合わさって、温もりが広がった。
(柔らか…。随分とリアルな夢だな。)
指先で髪を梳き、頬を撫でる。
胸の奥にこびりついていた五条先生への嫉妬が、触れるごとに溶けていくようだった。
「俺じゃだめなのかよ……」
声にならない声を落としながら、彼女の首筋に顔を埋める。
布越しに胸元を撫で、背中をなぞる。
『…んっ、』
聞いたことないはずのの嬌声が現実感を帯びて俺の鼓膜を震わせた。
自分の妄想力を称賛する。
現実のも、背中をなぞればこんな声を上がるのだろうか。
柔らかい胸を左手いっぱいで包んで指先で主張する蕾を軽くいじると、細い体がかすかに震えた気がして、夢の中の彼女が俺を受け入れているように思えた。
『んっ、ふぅ…っ』
自分に反応してくれる声と心地よい錯覚に、もっと深く求めたくなる。
……これは夢だ。
だから、許される。
背中をなぞった右手をそのまま下げてパンツの中に手を入れた。柔らかなお尻を触り、そのまま太ももを持ち上げる。
好きな女の入り口を確かめようと手を伸ばしたとき…。
「…めぐ、みくんっ、!」
その声が俺の鼓膜をリアルに震わせた。
「………え」
目を開けると、艶めいて顔を真っ赤にした俺を見上げていた。
心臓が跳ね、全身が固まる。
夢じゃ――なかった。