第3章 香久夜の過去
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……気づいたら、わたしは白い花畑の真ん中に立っていた。
夜空は透きとおるように青く、まるで昼間みたいに明るい。
見上げれば、大きな満月が雲ひとつない空に浮かんでいて、あたり一面を照らしていた。
「……きれい」
思わず小さくつぶやく。
だけど、すぐに胸がざわついた。
花の波の向こうに、人影が見えたから。
恵、くん。
真っ直ぐな背中。夜でもはっきりわかるくらいに、凛とした姿。
「めぐみくんっ、!」
呼んでも、返事はなかった。
彼はただ前を見つめて歩いていく。
その背中が遠くなるのが、たまらなく不安で。
わたしは駆け出した。
でも。
いくら走っても追いつけない。
足元の白い花びらが、ふくらはぎにまとわりついて、進むたびに重たくなる。
それでも必死に手を伸ばす。
「まって……!行かないで……!」
喉が焼けるみたいに苦しくて、涙が出そうになる。
その瞬間。
月が、まぶしいほどに光を放った。
視界が真っ白に包まれて、光の海になすすべもなく私はーー