第3章 香久夜の過去
夜ご飯を終え、香久夜は、食後の紅茶を飲みながら、静かな空間に浸っていたが、ふと瞼が重くなり、うとうとと眠気が押し寄せてくる。
「……ん」
頑張って目を開けようとするが、身体がそれを許さない。
ソファに深くもたれかかる。
五条はその様子を見て、少しだけ微笑んだ。
香久夜が眠ってしまったのを見て、五条はしばらく静かに座っていた。料理のときの彼女の顔が脳裏に浮かぶ。
(…誰を思った顔なんだか)
香久夜を放っておけない状況が明らかに迫っている中
彼女が無防備でいることが、どれほど危険か——
五条の判断は早かった。
「高専はもう、安全な場所じゃない。」
呪詛師を雇った人間がわからない限り、もうあの場所は危険だ。一人にはしておけない。
そして、何より—
「僕が守ってあげるから」
そう呟きながら、五条は決意を固めた。
そのとき、香久夜が少しだけ目を開け、ゆっくりと起き上がる。
「ん……、今、何時ですか
寮に戻らなきゃ、」
彼女はぼんやりとした目をこすりながら、寝ぼけた様子で起き上がった。その声に、五条は優しく微笑んだ。
「心配しなくていいよ。今夜はここに泊まっていきな」
香久夜は寝ぼけたまま返答をする。
「でも…、恵くんが待ってるから……」
その言葉に五条は一瞬目を丸くし、ふふっと微笑んだ。
「僕から連絡しておくから。
そのまま、休みな?」
そう言いながら香久夜の前髪をさらりと撫でる。
頬を触ると、瞳を閉じたまま猫のように顔を五条の方に向け、満足そうにまた眠りについた。
そのまま五条は横抱きにして彼女を客室のベッドに寝かせる。
「おやすみ、」
そういって、ちゅっ、とひとつおでこにキスをした。