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呪術回戦ー八月の忌み子ー

第8章 姫の呪い



耳元で低く押し潰された声が響いた瞬間、部屋を満たしていた甘い呪気の匂いが、一気に恵の放つ荒い熱と混ざり合っていく。


「っ…め、ぐみ、くん……っ」


布団へ押し倒された背中に感じる冷たい布団の感触と、上から覆いかぶさる恵の圧倒的な重量感。足首を掴んでいた彼の大きな手が、そのままゆっくりと膝裏を撫で上がり、乱れた着物の生地を滑り落としていく。


シャワーを浴びた直後だからか、恵の肌は驚くほど熱い。彼の骨ばった指先が己の肌に触れるたび、先ほどまで自分の指で追いつかずに燻っていた甘い痺れが、比較にならないほどの熱量となって跳ね返ってきた。


けれど——恵はそれ以上、強引に肌を暴くことはしなかった。


太もも、お腹、胸の間、そして首、とゆっくり指先を彼女の体に沈めながら、押し倒した勢いのまま香久夜の全身を自分の体で閉じ込め、両手を彼女の頭の横に突いて、上からじっと見下ろしてくる。

香久夜は自分であげた熱に息をあげて肩で呼吸をしていた。
その様子に恵の加虐心がくすぐられる。

「……なぁ」

低く、掠れた声が香久夜の耳元を濡らす。

「なんで一人でしてた?」
「っ……! あ、それは……っ」
「我慢、できなかった?」


逃げようとする彼女の手首を掴み上げ、押し留めたまま、恵は重い体躯で上から圧をかけていく。暗がりの中で怪しく揺れるその瞳には、今まで見せたことのない深くて暗い執着が滲んでいた。


「…俺の名前、呼んでたろ」


「っ、!!」


一つ一つ、逃げ道を塞ぐように問い詰められ、見透かされた羞恥心に香久夜の顔は耳まで真っ赤に染まる。両手で顔を覆って隠れようとするのに、それすらも大きな指で手首ごと固められて許されない。


「な、なんで……っ、お風呂、いつもより短い…っ」


涙目で必死に目を逸らしながら抗議すると、恵の薄い唇が意地悪く、けれど余裕を無くした笑みを浮かべた。


「同じだよ。お前が夢中になってて、時間も周りの音も聞こえてなかっただけだろ」


「っ……!!」

「……いつもこっそり一人でしてたのか?」


耳元で低く囁かれた言葉に、香久夜の背筋がヒヤリと跳ね上がる。


「……淫乱」


否定、したいのに、その言葉に、香久夜は恥ずかしさから口をあわあわと動かすことしかできなかった。




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