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呪術回戦ー八月の忌み子ー

第8章 姫の呪い




私は寝室の畳の上に、布団を敷いた。

布団に座り、脱衣所から聞こえるシャワーの水音に耳をすませる。
身体の奥から、じんじんと熱が湧き上がってくる。


恵くんに押し倒された時の体温、背中に回した自分の手の感触、そして彼に触られた体。それらが引き金となって、子宮の奥をキュッと痺れさせていた。


(恵くん、っ)


息が荒くなり、頬が火照る。

今までの夜なら、恵くんがそのまま「呪力チェック」と称して私を抱き締め、唇を重ねてこの熱を吸い取ってくれていた。


でも——脳裏に、昼間の七海さんの厳かな声が蘇る。


『伏黒くんにはあまりおいたをさせないよう、しっかり線を引くことを覚えなさい』



分かっていた。
七海さんは、私と恵くんのために言ってくれた。なのに私は、七海さんが帰った途端に恵くんを求めて、お風呂場へ逃げ込ませるまで追い詰めてしまった。


だめだ。
恵くんに。これ以上迷惑をかけちゃダメ。この思いは、自分で、なんとかしなきゃ、。


七海さんの言いつけを守らなきゃという必死な思いと、すでに火がついた甘い熱。混乱した頭のまま、私は布団を引き寄せ、そこに倒れ込む。


「はぁ…っ、ん…っ」


着物の帯を解く手が、恐怖と恥ずかしさで大きく震えていた。
こんなこと、しちゃいけないって分かってるけど、五条先生に触れられた場所わ自分の手で触れるなんて、考えたこともなかった。


でも、この熱を冷まさなければ、また恵くんに甘えて、七海さんとの約束を破ってしまう。


私は意を決して、乱れた着物の裾をまくり上げると、引きつるような呼吸のまま、小さく震える指先を己の下腹部へと這わせた。


「あ…っ、ん、ぅっ」


指先が熱を持った肌に触れた瞬間、あまりの過敏さに背筋が跳ね上がった。


恵くんの骨ばった長い指を思い出しながら、必死に自分の指を動かす。けれど、素人な手つきでは甘い痺れが増すばかりで、熱が逃げていく気配は少しもない。

「んっ、…ぁ、めぐみくんっ、は、ぁっ」


熱にうなされ、意識が朦朧とする中で、口から漏れるのは七海さんの教えではなく、やっぱり恵くんの名前だった。


恵くんに触れられたい。恵くんに溶かされたい。


自分を慰めれば慰めるほど、身体は余計に伏黒恵という男の体温を激しく欲してしまっていた。

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