第7章 葛藤
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「だーかーらー、頼むよ七海。お前にしか頼めないんだって。」
「お断りします、私は呪術師です。教育者のモノマネなんてできませんし、相手がかぐや姫とあるならば尚更荷が重い。」
久しぶりに五条悟に呼び出されたかと思えば、やはり碌なことではない。人のいない喫茶店で七海はコーヒーを一口啜り、カップを置いた。
だが、向かいに座る最強の男は、いつもの軽薄な笑みをすっと消し、目隠しの奥から氷のように冷たい視線を投げてきた。
「冗談で言ってるんじゃないんだよ、ナナミン。あの子には早急に、力の使い方を覚えてもらわないといけないんだ」
いつもと違う圧に、七海は無言で眼鏡の位置を直した。五条がわざわざ他人に頭を下げ、真摯な面持ちを見せる時——それは決まって、呪術界の歪みそのものが眼前に立ち塞がっている時だ。
「…力の使い方って、かぐや姫の術式でもわかったんですか。」
「その逆。…彼女には、術式がない。」
ーー術式がない術師は別に珍しいことではない。純粋な呪力操作・剣術・簡易術式を極めることで、術式なしのまま最高位の一級呪術師に上り詰めた人たちだっている。
…ただ。
「彼女の呪力の本質は、餌」
五条の口から発せられたその言葉は、冷たく静かに二人の空気を凍りつかせた。