第6章 満月の夜
「や、っ、先生、ち、近い、っ」
「隠し事があるから後ろたいんでしょ? ……ねえ、質問変えるからもう一度答えて。誰に、この暴走を抑えてもらった?」
五条の掠れた息が、香久夜の耳元を熱く濡らす。
洗練された指先が、香久夜の薄いシャツの隙間から滑り込み、過敏になった首筋から鎖骨へと、なぞるようにゆっくりと滑り落ちていく。
「ひぁっ、 先生、そこ、だめ、っ」
「だめじゃない。……誰か、いたでしょ。 僕よりも先に君を見つけて、君を助けてた人間が。」
五条の指先が、香久夜の服の内側に手を伸ばし、触って欲しいと敏感に勃った頂の周りを、焦らすように正確になぞり上げる。
暴力で痛めつけるのではない。ただひたすらに甘く、快感だけを的確に与えながら、秘密を暴こうとした。
「ふっ、はぁっ、ん」
1番触って欲しいところを触ってくれない五条に、懇願するような、期待するような潤んだ目を向ける。
快感で頭が真っ白になりそうになりながらも、彼女の理性だけは自身の初恋の相手の顔を思い浮かべていた。
(言えない、お兄ちゃんのこと言っちゃったら、多分、もう2度と、会えなくなっちゃう気がする…っ)
理由はわからない。けど、お兄ちゃんが一度だけ見せてくれた写真にいたのは、確かに目の前にいる五条先生だ。友達だったのに、ずっと長いこと会えてないって。それは多分、何か理由があるからだって。
香久夜の直感が、言ってはいけない、と、警鐘を鳴らしていた。
「っ……い、えな……ぃ……っ」
「言えない? ふーん……随分と大事に庇うんだね、その男のこと」
五条の青い瞳が、苛立ちと仄暗い嫉妬でパキッと怪しく光る。
六眼を通して伝わってくる香久夜の感情は、「恐怖」ではなく、何かを必死に守ろうとする色だった。それが余計に五条の胸をざわつかせる。
「言わないなら、言わせるしかなくなっちゃうんだけどさ。」
そう言って五条は指先でピンっと頂を少しだけ弾いた。
「んっ、!」
その行為だけで香久夜の腰に甘い刺激が走った。
力なく五条の腕を両手で押しながら、唇を噛み香久夜は睨みつけた。
「…だからそういう顔されても、煽られるだけなんだよ」