第6章 満月の夜
「ねえ、、ちょっと教えてほしいんだけどさ」
「んっ、はい、っ何ですか……っ」
「今まで、満月の夜はどうやって過ごしてきたの?」
五条の言葉に、香久夜の動きがピタリと止まった。
「今まで…は、」
「京都の時みたいに呪力を爆発させないで、前みたいに、外に『垂れ流し』の状態にして放流することはできそう?」
五条の青い瞳が、タオルを動かす手を止めずに香久夜を静かに射貫く。
香久夜は首を小さく横に振った。
「やりたい、けど…、っ、前は、自分の呪力なんて意識したことなかったから、どうやってたのか、全然わかんなくて。」
(たしかに、無意識だからできたことを、どうやってたのかなんて、わかるはずないか。)
抱き抱えるように、彼女の背中にタオルを動かしていく。
五条の耳元に、香久夜の堪えきれない漏れた吐息がかかる。
「んぁ、っ」
漏れた声に慌てて、「ごめんなさいっ」と繋がる香久夜。
気にしないと言った様子で五条は続けた。
「じゃあさ。過去に一度でも……今回みたいに誰かに呪力を引き抜いてもらったことはある?」
五条の問いに、香久夜の胸の奥がドクンと跳ねた。
(……ある)
記憶の底。一人で暮らしていた時に一度だけ、同じような感覚に襲われたことがあった。