第6章 満月の夜
「あぐ……っ、恵……くん……っ!」
抱きしめた拍子に、香久夜の唇から甘い悲鳴が漏れる。
彼女の背中に自分の腕を回して、生の肌と肌が擦れ合うたびに、バチバチと青い火花のような呪力が弾けた。
香久夜の体内の膨大な呪気が、まるで堰を切った濁流のように俺の体内へと雪崩れ込んでくる。
痛い。苦しい。だがそれ以上に—
—頭が狂うほど気持ちいい。
「ッ!!」
俺は自分のシャツを脱ぎ捨て、上半身裸になった。
汗で濡れた素肌同士をぴったりと密着させると、香久夜は「あ……っ、気持ちいい……」と恍惚とした息を漏らし、俺の首筋に甘噛みするように噛みついてきた。
ぷつり、と皮膚が切れ、温かい血が滲む。
昼間と同じだ。香久夜は血を求めている。俺の血を、俺の呪力を、俺という男の存在そのものを貪り食おうとしているのだ。
「っ…いってぇ……けど、もっと強く…、俺を求めろ」
正解なんて最初から分からない。
どうやって呪力を流し込めばいいのか、どうするのが正しい術師としての手当てなのか、そんなことはどうでもよかった。
俺は香久夜の背中に手を回し、爪が食い込むほど強く抱きしめ直した。
「ふぁ…っ!んぁ、あんっ、んんっ…!」
彼女の首筋、鎖骨、はだけた肩口へ、荒い吐息とともに何度も何度も激しく唇を押し付けると、その度に香久夜は反応をくれる。
「いっ…!はぁ、はぁ、…っ!」
俺の印と、香久夜の印が直接重なり合うたびに、激痛と甘い痺れが身体を突き抜けていった。