第15章 青の日々 (及川徹)
俺の手を縋るように握り返す彼女。ここまで思い詰めてたことなんて今まで無かったのに、と思い返す。
『2人に体抑えられて…1人が私の足の間に立って下着の上から擦り付けるみたいに密着してきたの…。』
「……っ」
『もう無理かなって思ったとき警備の人が見回りに来て…最後まではされなかった。』
「警備の人が助けてくれたってこと?」
『うん。3年生の先輩たち追い払ってくれて…毛布とかかしてくれた。警備員室で飲み物とか出してくれて…落ち着くまでそこに居させてくれたの。帰り際、鏡で自分を見たら首元に跡がついてて…髪の毛おろしたんだ。』
「首…見てもいい?」
俯いたまま何も言わない彼女の綺麗な髪の毛に手をかけてサラリと首元を露わにする。真っ白な肌に咲く紅い跡。
「……っ怖い思いさせてごめん」
『及川は何も悪くない…』
「俺に触られて怖くない?」
まだ微かに震える小さな身体。
このまま消えてしまいそうにさえ思う。
『及川は怖くない…優しいってちゃんと分かってる。』
「ちゃんが落ち着くまで抱きしめてもいいかな。」
『…うん』
包みこむように優しく抱きしめる。蝶よりも花よりも丁重に扱わなければ壊れてしまいそうなほどに弱っている。
「俺がいるよ、もう大丈夫。」
『…っうん』
抱きしめた俺の背にちゃんの腕が回る。きゅっと縋るような仕草に胸が痛くなる。
「明日から絶対一人で帰ったりしないで。待たせちゃうけど…ギャラリーで俺のこと見て待っててくれないかな?」
『そんな迷惑かけられないからいい。』
「迷惑?本気で言ってるの?また同じ目にあったらどうするの?俺の目が届くところにいてくれる方がずっといいよ。だからこれは俺からのお願い。だめかな?」
また同じ目に…考えただけで俺の方が気が気じゃない。この世でたった一人の大切な人。守れるならそれは俺でありたい。だからそばにいさせて。