第15章 青の日々 (及川徹)
震える彼女の手を握ったまま俺は話を聞いていた。
『西館の空き教室にって手紙に書いてあったから行ったの。あんな誰も使ってないような棟…?って思ったけど…行ったの。』
「うん。」
『そしたらあの先輩の元カノって人が教室にいて、私の彼を奪ったでしょって。すごく怒ってた。告白はちゃんとお断りしましたって伝えたけど お前が色目使ったんだろって…全く聞こうとしてくれなかった。』
頬に伝う涙を指で受け止めながらゆっくりと言葉を紡ぐ彼女の話に耳を傾ける。正直こういう妬み系は中学の頃にもあって、だけどあの時は涙なんて見せなかった。だから今回はきっとこれが本題じゃないんだろうなってなんとなく感じるんだ。
『どうしたら分かってくれるんだろうって考えてたら教室のドアが開いて、3年生の先輩が2人入ってきた。ちょっと顔がいいからって調子乗んなって。及川に色目使って弄んでんの知ってるからって。』
「は?そんな事あるわけないじゃん。俺の一目惚れって知らないんだよそいつら…っ」
『男なら誰でもいいんでしょって言われて、そしたらまたドアから人が入ってきたの。今度は男の人が3人。』
嫌な予感がする。
胸のあたりがザワザワして仕方ない。
『みんな知らない人だったけど…上履きの色が3年生だった。ヤれるって本当?って…。逃げなきゃって思った。でも男の人3人に私なんか適うわけなくて。』
さっきよりも震えの増した手を強く握って背中をさする。もはや震えてるのは彼女なのか自分なのか分からない。それでも大丈夫と言い聞かせるように彼女に触れる。
『あとは宜しく、写真だけお願いねって女の先輩たちは出てったの。男の先輩3人と私だけが残されて、あっという間に制服を…剥ぎ取られた。色んなところを触られて…っそしたらベルトをカチャカチャ外す音が聞こえてきたの。これ以上はやめて欲しいって何回も言った…でも…っ』
「ちゃんもういいよ。大丈夫話さなくていい。」
『……っや、聞いて…っ。自分の中だけで留めてたらおかしくなりそうなの…っ』
「…分かった。ゆっくりでいいからね。」
呼吸すらうまくできない彼女の背中をさすりながら話を聞くことしか出来ない俺は自分の無力さに嫌気がさす。