第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
放課後になってもなかなか教室から出られない私。それを何も言わずに待っているカズくん。
『…ごめんやっぱり。』
「お前怪しまれる天才かなんか?」
『でも…』
「でもじゃねーって。バレたくねんだろ?
場地のクラスも終わったぽいし行くぞ」
『う、うん。』
手を引かれて圭介くんの教室までやってくると、すぐに私たちを見つけた圭介くんが出てきてくれた。
「お前今日も補習?」
「今日はねーから帰れる」
「んー、じゃあ帰ろうぜ」
「おう」
なんか喋んないと…変に思われる。
2人の会話を聞きながら言葉を探す。
「?」
『は、はいっ』
「ぼーっとしてどうしたんだよ。
昼も来ねぇし何かあったか?」
『あ、ううんっなにも!本当になにも!』
「いや何かあっただろ…」
『な、なにもない…っ』
「んまいーや。気が向いたら話せ。」
『ん、ありがと。』
私を覗き込んだ圭介くんの瞳は全てを見透かしてそうで、だけど何も聞いては来なくて。これは圭介くんの優しさ。ポン、と優しく私の頭を撫でてから何事も無かったかのようにまた歩き出す。
「なあ、俺あれ食いたい!」
カズくんが指さしたのは某Mックの新作。
『私も気になってたやつだ』
「んじゃ行くか」
久しぶりに3人で帰って、寄り道をして、こんな日がずっと続いて欲しい。崩れて欲しくない。だからカズくんとのことは圭介くんには話せない。知ったらどう思われるかわかんない…好きな人とじゃないと意味がないって前に言ってたから。
「俺買ってくっから席取っといて」
圭介くんに言われて私とカズくんは空いている席についた。
「お前ほんと隠し事ヘタクソな」
『…ごめんなさい。』
「いや別に俺はバレてもいいけど
苦しくなるのお前だろ」
『え、バレていいの…?』
「男同士だし俺は別に」
『そ…っか。』
男の子同士ってそういう話もオープンにするもの?相手がいつも一緒にいる幼馴染だとしても?でも圭介くんなら気にしないのかな。カズくんが女の子取っかえ引っ変えしてても特に何も言わなかったし。