第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
「わり、ちょい並んでたわ」
『ううん、ありがとう圭介くん』
「さんきゅー、早く食おーぜ」
『あれ…これは?』
コトン、と置かれたアイスティー。
カズくんと圭介くんの前には水が置いてある。
「お前これいつも飲んでんだろ
あーあとこれな」
そういってガムシロップ2つとミルクを差し出される。
『ありがと圭介くんっ』
「どーいたしまして」
「飲みもんひと口ちょーだい」
『どーぞ』
「…あっま」
「こいつガムシロ2つ入れてるからな。」
「入れすぎだろ歯ぁ溶けるわ」
『いや言い過ぎでしょ』
こんななんでもない時間が好き。
くだらないことで笑える時間が好き。
壊れて欲しくない。バレたくない。
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「うし、そろそろ帰っか」
圭介くんの声に外を見るとすっかり暗くなっていた。
「じゃ、一虎またな。
帰るぞ。」
「じゃーなー」
分かれ道まで来たところでカバンの中にいつも入れているポーチがないことに気づく。
『…あ、ポーチない。』
「店に忘れたか?」
『ううん、お店でも学校でも出してない…』
「んじゃ俺ん家じゃね?
それってすぐ必要なもん?」
『うん、それに家の鍵とか入ってて。』
「じゃ、ポーチ取ったらバイクで送ってやるよ」
『ほんと!』
「いーよ」
『ありがとうカズくん!
それじゃあ圭介くんまた明日ね』
「ん、じゃーな。
明日は朝迎えいくから。」
『うんっ』
圭介くんとわかれてカズくんと歩く帰り道。ここ最近2人でいることが多い気がする。きっとこれから増えてくんだろうな。
「俺ん家でポーチなんて出してたか?」
『出した…のかなあ?
私も全然覚えてないけど…。』
カズくんの家に着いて部屋を探すとすぐに見つかった私のポーチはベッドの上に転がっていた。
「あって良かったな」
『朝出して置きっぱにしちゃったみたい』
「みたいだな」
『お家入れないとこだった…』
「俺はお前がずっとここに居てもいーけどな」
『もーなにいってるのカズくん』
「すぐ帰るとか言わねえだろ?」
部屋を出た私を後ろから抱きしめて、ゆっくりと部屋の中へ引き戻す。あっという間にベッドに組み敷かれてしまう私の身体。
『…カズく、んっ』