❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
(臣くん鴇くんは林檎ジュース出してあげるとして……光秀さんはやっぱりお酒かな。誕生日前だし、子供達が寝た後に二人で少し飲んだりしたいな)
今日一日、今までにない体験をした子供達は恐らく湯浴みで身体が温まった後は、眠くなって寝てしまうだろう。特に光鴇辺りは元気な素振りを見せていたが、時折目をこする仕草を見せていた。息子二人が眠った後は、光秀も気兼ねなく酒を飲める筈だと考えた凪が、何か夜に二人で飲めるものを用意しようとキッチンの方へ向かう。その途中、備え付けのバーカウンターを目にして立ち止まり、そこに置かれていたメニューや冊子を手にした。
「これ、ルームサービスのメニューだ。先におつまみ頼んでおいてもいいかも。こっちは……」
軽食から重めのものやドリンク類まで、様々なメニューが記載されている白地にブラウンの文字が印字されたシンプルなそれへ目を通す。仮に少し酒を嗜むならば、肴になるものを注文しておこうと考えて手前にメニューを置いた。次いで目に入ったのは、様々なカクテルの作り方が載っている冊子である。色合いの美しいカクテルグラスが表紙に載っているそれを開くと、案外細かに作り方や道具の使い方が記されていて、写真付きである為初心者でも見様見真似で作れそうな雰囲気だ。
(オプションでバーテンダーさんも派遣出来るみたいだけど、人が居たらちょっと恥ずかしいというか、気まずいかもだし)
さすが最高級ルームというべきか、ホテルに併設されているバーから直接バーテンダーを呼んで、この部屋でプライベートバーを楽しめる仕様も用意されているが、それだと光秀がというよりも凪自身が落ち着かない気がする。難しい表情を浮かべた彼女が、試しにバーカウンターの前に立つと、下部の収納に専用の道具が清潔な状態で収められているのを見た。
(そっか、バーテンさんを呼べるって事は道具も全部揃ってるって事だもんね)
室内に備え付けられている冷蔵庫とは別にある、カウンター下の冷蔵庫内には様々なリキュールなどが揃っており、氷やグラスも専用のものがしっかりと用意されている。