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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



自分も頼られたいと考える幼子の主張に父が笑みを零し、荷物の中で一番軽い小さな紙袋を渡した。中には靴下などが入っているのだが、光鴇にとっては取り敢えず荷物を持つという事が重要な為、満足げである。母に向かって得意げに告げると、頼もしい家族の一員に片手を伸ばして幼子の自分によく似た黒髪を優しく撫でた。

「鴇くんもありがとう。じゃあ荷物は一度クローゼット……えーと箪笥の中へしまいましょう。その後で臣くん鴇くんは湯浴みしないとね」
「ならば子らは俺が入れてやるとしよう。こちらの湯浴み場の勝手は乱世とだいぶ異なる」
「ちちうえ、あにうえとゆあみ?わーい!」

凪と光秀の二人が使用する予定の寝室へ向かい、奥に備え付けられているクローゼットの中に買い物した衣服や靴などを収めた。光秀は何度か現代に来ている為、シャワーなどの使い方も問題ないが子供達はそうもいかない。幸い、ロイヤルスイートに備えつきの巨大ジャグジーは五人はゆうに入れるだけの広さだ。光秀や兄とはそれぞれ入る事はあっても、三人でというのは中々ない。無邪気な様子で喜ぶ幼子の隣で、凪が光秀を見上げた。

「それは凄く助かりますけど……光秀さん、色々回って疲れたりしてませんか?」
「心配するな。この程度、疲労の内にも入らない。お前こそ色々手を回して疲れただろう。俺達が湯浴みを終えた後、気兼ねなくゆっくりしておいで」

さすがに鍛え方や基礎体力が異なるのか、光秀は言葉通りさして疲労の色を見せてはいない。自身を取り繕う事が得意な相手だと分かっている為、探りを込めてじっと見つめてみるも、偽りは言っていないようだ。凪を気遣ってくれる優しい夫の姿に胸の奥が暖かくなり、つい笑みが溢れる。乱世から持ち込んだ荷物を取り出し、寝間着用の着流しを全員分用意した凪が、光秀へ向き直った。

「じゃあお言葉に甘えますね。着替えは皆が湯浴み中に用意しておくので。子供達の事、お願いします」
「ああ……臣、鴇、湯浴み場に向かうとしよう」
「はい、じゃあ母上、お先に失礼します」

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