❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
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回転寿司で賑やかな夕餉を終えた後、明智家親子はホテルへと戻った。時刻は二十時を過ぎており、様々なものへ興味を示していた子供達は心地良い疲労感を覚えているようだ。フロントへ預けていたカードキーで最上階の部屋の扉を開けて中へ入り、草履から室内用のスリッパへ履き替えた凪は、室内に置かれているショッピングバッグを見て感心の声を上げる。
「あ、荷物ちゃんと届けられてますね」
「向こうへ戻った暁には、彼方殿へ礼を言わなければならないな」
「はい、お土産も色々買っていってあげなきゃ」
黒いマットな質感の下地に、白でシンプルなロゴが描かれたそれは、彼方の実家系列にあたるブランドのショッピングバッグだ。夕餉へ向かう前、立ち寄ったデパートが偶然にも咲坂グループ傘下のものだったらしく、彼方の近況を顔見知りの店員に伝えたところ、外商に回すようなかなりVIPな扱いを受けたという訳だ。夕餉の折に荷物がなかったのはそういった理由である。買った商品をすべて宿泊先に届けてくれるという厚遇であった。
「きもの、あしたきる?」
「うん、明日動物園に行く時、お着替えして行こうね」
「たのしみっ」
首を傾げた幼子へ頷いてみせると、光鴇が明るい笑顔を浮かべた。ソファー前のローテーブル上に置かれていた荷物を凪が持つと、それを更に横からひょいと光秀、光臣の二人が受け取る。結局手ぶらになってしまった彼女が左右に立つ二人を見比べれば、男が微かに口元を綻ばせた。
「妻に重い荷を持たせるわけにはいかないだろう」
「同じく、こういう時は男手を頼ってください」
「二人とも……どうもありがとう」
実に男前が過ぎる物言いをした父と長男へ凪が破顔する。嬉しそうにはにかんだ母を見て、慌てた光鴇が光秀の足元へとまとわりついた。
「ときもおのこだから、おもいもの、もつ!」
「悪くない心掛けだ。ではこれを任せるとしよう」
「ん、ははうえ、ときももってあげる!」