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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



父母二人から注目を受けた事へ、幼子が満足げな笑顔を浮かべる。その後、吸い物や数の子、穴子や蒸しエビなど、乱世では味わう事の出来ないネタを堪能した。食べ終えた皿を綺麗に凪が並べ、テーブルの上を拭いていると、ふとレーンを眺めていた光鴇が振り返って母を見る。

「ははうえ、あれなに?たべれる?」
「ん?」

暖かな茶を飲んでいた光秀と光臣も同じく幼子が指す方向へ意識を向けた。レーンには相変わらず様々な寿司ネタが流れていたが、その中で一際存在感を放つものがある。皿の上にプラスチック製の透明な器が乗せられているそれの中には、動く度に中でぷるぷると揺れている黄色いデザートが盛り付けられていた。初めて見るその菓子へ興味を抱いた幼子の、期待に満ちた眼差しを受けつつ凪が応える。

「あれはね、プリンっていうお菓子だよ。甘くて美味しいの。食べてみる?」
「とき、たべたい!」
「じゃあ取ろうか。二つあるし、臣くんもどう?」
「ではいただきます」
「はい、どうぞ。このスプーン……ええと、匙使ってね」
「ありがとうございます」
「ぷるぷるってしてる。かわいい」

カラメルの上に生クリームがたっぷりと乗ったプリンはこの店オリジナルの商品らしく、メニューにも人気商品である旨が記載されていた。新鮮な朝採り卵を使い、てんさい糖を加えて冷やし固めたプリンからはほんのりとバニラの香りが漂っている。子供達の分を取ってそれぞれの前へ置いてやり、備え付けの入れ物からスプーンを取り出すと渡してやる。皿の中でふるふると震えているプリンを見て、物珍しそうにしている光鴇が早速一口デザートを食べた。

「お前はいいのか、凪」
「私はもう結構お腹いっぱいなので」
「そうか」
「おいしいっ」

凪を気遣う光秀の問いに緩く首を振る。微かに口元へ笑みを乗せる光秀の横では、兄弟が嬉しそうに面持ちを綻ばせていた。

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