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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



この機会に乱世では食べる事のないものを食べさせようと、凪が光秀の前に皿を置いて行く。蟹という単語に反応した光鴇が、ぎょっと目を丸くしている様へ小さく笑い、問いかける。好奇心旺盛なのか、単に食わず嫌いではない質なのか、嬉しそうに頷いた幼子のリクエストに応えるべく、兄が流れて来た皿を取ってやった。続けて流れて来た蟹の皿を凪が取り、光臣の前にも置く。

「私はどれにしようかなあ……あ、これにしよ」

凪が取ったのはアボカドサーモン握りであり、サーモンの上に玉ねぎのスライスとアボカドが乗っている。色んなものが乗っかっている様を目にして、光秀が物珍しそうに彼女の前にある皿を見やった。

「最初からお前が混ざっているものを選ぶとは珍しいな」
「本当ですね。この緑のものはなんですか……?」
「ははうえも、まぜまぜするの?」
「これ混ざってるって認識なんだ……でも見方によってはそうなのかも?ちなみにこの緑のはアボカドっていって、お醤油つけて食べると美味しいんだよ」

明智家の中で唯一混ぜて食事を摂らない凪が、色々と乗ったものを食べるという事が珍しいのだろう。父の影響なのか、やや偏った見方の子供達へ苦笑を零した後、凪がアボカドの説明をする。玉ねぎのスライスなどが崩れないよう箸で掴み、醤油をつけて食べた。実におよそ十年ぶりのアボカドに、凪が嬉しそうに破顔する。

(んー!美味しいっ、アボカド久々!乱世にもあればサラダとか色々使えるのに。彼方が喜びそう)

「かにさん、おいしいっ」
「身が適度に解れて食べやすいな」
「これが蟹の味なんですね……美味しいです」

凪がアボカドサーモンに舌鼓を打っている間、蒸しずわいがにの握りを食べていた三人の親子が口々に感想を零した。貝やイカ、タコ以外であれば大抵柔らかくて噛みやすいだろう寿司はある意味、光秀にうってつけである。幼子の食欲は中々に旺盛なのか、ずわいがにをぺろりと食べた光鴇が凪の食べていたアボカドサーモンの皿を見やり、興味を示した。そうして隣に座る父を振り仰ぎ、ねだるように告げる。

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