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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



京都の町並みに合わせた如何にも純和風な外観のこの店に、凪達は夕食を食べに訪れたのだった。

「1004番テーブル……ありました、ここです。臣くん、奥側座る?」
「ありがとうございます。ではそうさせてもらいますね」
「ときも!ちちうえ、ときもおくがいい!」
「ああ、おいで」

座部や背もたれが柔らかな畳のような形になっている三人掛けの長椅子が、檜の優しい風合いのテーブルを挟んで向かい合う形で置かれていた。子供達を座らせた奥側の席のすぐ傍には細いレーンが通っていて、そこでゆったりとコンベアーが動いている。真っ白なベルトの上には様々な色合いの皿へ盛り付けられた寿司が乗っており、店内を一方通行の流れでぐるりと巡っていた。今宵、明智家親子が選んだ夕餉は即ち、回転寿司である。

「おさら、いっぱいぐるぐるまわってる…!」
「食べ物を流すなんて、妙な事を思いつくものですね……」
「如何にも信長様が好まれそうな珍妙さだな」

くるくると次々に目の前を通過する寿司の乗った皿へ眸を輝かせ、光鴇が興味津々といった様子でレーンをじっと見つめている。料理が勝手に目の前を通り過ぎて行くなど経験がある筈もなく、光臣は不思議そうに、しかし隠しきれない興味を金色の眸に灯しながら、弟と同じくレーンに釘付け状態であった。光秀もまたくつりと小さく笑いを零すと、様々なネタが乗った寿司を眺める。

(大坂や堺ではともかく、安土では中々新鮮なお魚って食べられないもんね。お寿司も確か一般的に広まるのは江戸以降って彼方が言ってた気がするし)

洋食も良いかと考えたが、ここはやはり日本の料理を堪能してもらおうと凪が選んだのが、この回転寿司であった。京都内に数店舗しかないながら、パンフレットの家族連れお勧めグルメとして紹介されていたこの店は、京都に住まう者ならば、誰しもが一度は足を運んだ事があると言われている程の超人気店らしい。

確かに店内は常に満席状態であり、凪達もこうして席に着くまでおよそ三十分程の待ち時間があった。

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