❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
(相手を返り討ちにする事は簡単だけど、町中で騒ぎを無駄に大きくしない為、ある意味穏便な方法でナンパ男達を撃退したって事なんだ。短時間でそこまで手を回すなんて、さすが光秀さん!)
現代だろうが乱世だろうが歪みない手腕に感嘆を零す。何処へ行っても光秀は凪にとって完璧な夫であり、子供達にとっては頼れる父だ。
「さて、そろそろこの場を立ち去るとしよう。次は凪の希望の場所か」
「あ、はい…!デパートは確かこの通りを抜けた先にあった筈です」
気を取り直した様子で声をかければ、凪が嬉しそうに頷いた。先程巻き起こりかけた騒ぎの余韻などすっかり薄れた賑わう通りへ、親子四人は次なる目的地に向かって足を踏み出したのだった。
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時刻は十八時頃、すっかり周囲の景色が暗くなったにも関わらず、町中は目映い灯りで照らされている。乱世では到底見る事の叶わない光景に二人の息子は驚きを示し、店先や街灯、看板などの光に目を奪われた。空は確かに宵の口へと沈んでいるにも関わらず、店内や街灯の下に立つとまるで昼日中のように明るくなる様は子供達の常識においては摩訶不思議でしかなく、日中に見た硝子細工の如き綺羅びやかな様を飽きる事なく眺めていた。
そして今、ビードロを散りばめたような美しい夜の町並みを凌駕する程の衝撃を受け、二人の息子達は無論、光秀も珍しく少々驚いた様子で目の前の光景を見つめていた。
【お待たせ致しました。番号札404番の四名様、1004番テーブルへどうぞ】
「あ、私達の番号呼ばれましたよ。1004番テーブルは奥の方みたいですね」
店内のアナウンスが流れると、凪が手元に持っていた感熱紙に印字された番号を見て、三人に声をかける。店内の様子を不思議そうに眺めていた光秀達は凪に促されるまま、数列並んだテーブル席の内、店の奥に位置する場所へと向かった。店内には家族連れやカップルなどの姿が多くあり、入り口付近の待合場にはまだ他にも順番待ちをしている客達も居る程賑わいを見せている。