❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
「本当だ、可愛い……!」
「お前によく似ている」
「落ち着きのなさそうなところがそっくりだ」
三者三様の感想を得てご満悦な光鴇に続き、職人が次いで兄である光臣の分を作り始めた。光鴇よりやや大きめな白い狐の眸もまた黄色であり、落ち着いた様子で座っている様がまた光臣らしい。あっという間に次を作り上げた職人の手から完成した飴を少年が受け取り、その精巧さや美しさに眸を輝かせる。
「臣くんは落ち着いてるお兄ちゃんって感じだね」
「あにうえのしろいきつねさんもかわいい!」
「妙に大人びて澄ましているところがお前らしいな」
「父上、それは褒めているんですか?」
「当然だろう、特徴をよく捉えていると感心していたところだ」
客商売で培った観察眼とでもいうべきか、職人が作り上げた光鴇の黒狐よりも一回り大きな白狐は、見事に光臣の雰囲気を捉えている。笑顔を浮かべる母と弟を他所に、光秀が冗談めかした調子で告げた。明らかに揶揄の感じられるそれへ、光臣が胡散臭そうな眼差しを向けると、父がさらりと言ってのける。
そんな親子のやり取りを余所に、最後一気に作り上げたのは一番大きな白い狐と、それより一回り小さく、光臣のものよりは少し大きめな黒い狐であった。二匹の白黒の狐は互いに横を向き合っており、合わせるとちょうど鼻先がくっつくような仕様になっている。尻尾の部分も二匹合わせればハートの形になるという、実に小粋な作りだ。
「か、可愛い……!」
「ちちうえとははうえ、なかよし!」
「何だか動物で表すと微笑ましいですね」
「つまり余所からしてみれば、俺達はこう見えているという事か」
光鴇を抱えているという事もあり、凪が光秀の分も職人から受け取らせてもらった。透明な袋でラッピングされている為、完全に近付けてくっつける事は出来ないが、二本を合わせ持っているだけでも十分過ぎる可愛さだ。ついでにその二匹の手前に仔狐二匹を加えれば、完全な親子狐の完成である。
(どうしよう、凄い可愛い……!食べるの勿体無さ過ぎるよ……彼方に写真撮って見せたい!)