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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



人が壁のように店頭を塞いでいるとあり、凪も果たして何を取り扱っている店なのか判断する事が叶わず、首を捻った。光秀へ窺うように問いかけると、色好い返事が得られる。四人はそのまま人だかりの中へと紛れる形になり、人々が注目する店先へ意識を向けた。

「むっ……ちちうえ、みえない。だっこ」
「確かにこれでは見えないな、おいで」

およそ二十人強程が集まるそこにはほとんど大人しかおらず、光鴇の小さな背では店頭を覗き見る事が出来ない。懸命に背伸びをしてみるものの、前にいる人の足しか見えない事実に眉根を不服そうに顰め、再び繋いだ状態の父の手をくいっと軽く引っ張った。くすりと小さな笑みを零した男が、両腕を伸ばして光鴇を抱き上げる。片腕に先程浪漫譚で作ったものを入れた紙袋を下げている光秀へ、凪が気遣って声をかけた。

「光秀さん、鴇くん抱っこするなら荷物持ちますよ」
「済まないが頼めるか。びーどろを潰す訳にはいかない」
「はい、大丈夫です」
「なら母上の荷は俺が持ちます」
「ありがと、臣くん。じゃあこれだけお願い出来る?」
「お任せください」

紙袋を光秀から受け取ると、今度は光臣が彼女の荷物を持つと声をかけて来る。あまり重たいものではない為、然程問題はないのだがせっかく申し出てくれたという事で軽めの荷物を少年に託した。改めて店先へ向き直ると、縁日などで見られる出店を模した造りのそこには、細い竹串の先に様々な動物や果物を象った色とりどりの飴細工がディスプレイされており、ちょうど職人が飴細工作りの実演をしているところであった。

「あ、飴細工屋さんなんだ……!」
「飴細工……?あれが飴なのですか?あんな色の飴、見た事がありません」

デフォルメした十二支の飴細工が手前にずらりと干支順に並んでおり、その奥には金魚や蝶、朝顔や桜といった生き物や花などが屋台を華やかに彩っている。

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