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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



乱世の京の都もまたいつでも人通りが多いと考えると、数百年経った今でも変わらないものは、確かに存在しているのかもしれない。

「こうしてい歩いていると、着物姿の者も沢山いるのですね。母上が着流しと羽織で問題ないと仰られた理由がよく分かりました」
「うん、町の雰囲気に合わせて和装で観光する人もいっぱいいるしね。着物とか浴衣をレンタル……じゃなくて、貸してくれるお店も沢山あるんだよ」

伝統的な店が集まる通りである事も手伝い、周囲は先程よりも和装で道行く人々の姿が多く見られる。着物や浴衣姿で歩いている人々と行き交う度、何処か乱世を彷彿とさせられて、まだこちらへ来て数時間だというのに懐かしさを覚えた。それだけ今の自分にとって、乱世が帰るべき場所なのだと強く思い知らされる。

「ちちうえ、あっちもこっちもいいにおい!」
「菓子や食い物を饗する見世が多い所為だろう。何か気になるものがあるのか?」
「きになるもの、ぜんぶ!」
「おやおや、随分と欲張りな事だ」

凪の隣では幼子と光秀が言葉を交わしていた。焼き物屋や和紙、千代紙などの紙製品を扱う店、京扇子に京漆器など、様々な工芸品の店が並んでいるその合間には華やかで繊細な練りきりを扱う老舗の和菓子店や煎餅や串団子を店頭で焼いて提供する店など、子供達の興味や関心を惹くものが数多ある。

取り分け素直に何でも興味を示す光鴇はあちこちをきょろきょろと見回し、物珍しい店々へ眸を輝かせていた。そんな中、人通りの多い往来の中でも一際人だかりが出来ている店を見つけ、双眸を瞬かせる。繋いだ父の手をくいくいっと引っ張った後、光鴇が人だかりを指差した。

「とき、あれみたい」
「ん……?」
「なにやら混み合っているようですね。有名な見世か何かでしょうか」
「何屋さんだろ。光秀さん、ちょっと寄ってもいいですか?」
「ああ、構わない」

賑わいを見せる店頭に光臣自身も興味を惹かれたのか、眸を瞬かせて意識をそちらへ向けていた。

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