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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



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硝子細工作り体験を終え、親子は目についた和食屋で昼餉を済ませた後、そのまま近隣の京都散策へと繰り出す。乱世の頃から存在している歴史ある建造物や、それより後世に建てられたものなど様々な箇所を巡った。秋口は比較的修学旅行生が多く、浪漫譚へ向かう折にもそうであったが、光臣が女子中高生に騒がれるといった事などがありつつ、土産物や伝統工芸品を扱う店が軒を連ねる通りへと向かう。

古き良き景観を守る為、電線や電柱などが極力地上に出ない形となっている石畳の通りを歩いていると、改めて凪が感心したような様子で周囲を見回した。京都の一般企業に就職してから暫く、戦国時代へタイムスリップする前までは数年程この町に住んでいたが、懐かしい景色が残っているものもあれば、がらりと変わってしまったものもある。

佐助曰く、乱世と現代での時の進みに若干違いが生じている為、戦国時代で十年以上過ごしたとしても、こちらではその半分以下であったりするらしいのだが、それでも月日が経っている事に変わりはない。昔から続いている老舗の他にも、新規参入した店舗なども多く見られる通りに懐かしさと真新しさを抱きながら歩いていると、隣を歩いている光秀へふと腰に腕を回され、くいと優しく引き寄せられた。

「あ、」
「午後になった所為か人通りが多くなって来たな」
「はい、こっちの京都は年中混み合っている感じなので」
「その辺りはやはりあちらの世と然程変わりないという事か」

凪のすぐ横を、二十代と思わしき女性観光客数人が通り過ぎて行く。恐らく彼女がぶつからないようにする為、光秀が先んじて気を回してくれたのだろう。反対の手では光鴇としっかり手を繋いでいる光秀が、穏やかな声をかける。彼の言う通り、十四時を回った今は午前中に比べ、人通りがぐっと増えているように見受けられた。日本の観光名所の代名詞として指折りの京都は、逆に空いている時期を探す方が難しいと言われているくらいである。

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