❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
「「「……!!!!?」」」
「目当てのものは作れたのか、お前達」
「み、光秀さん……!?」
「父上……気配を断って背後に立つのはやめていただけると……」
「と、とき、なにもしてないよ……!」
(臣はともかく、相変わらず隠し事が下手な妻と仔栗鼠だ)
ぎょっとした様で背後を振り返り、凪が若干驚きから上擦った声で男の名を呼ぶ。割とすぐに平静を取り戻した長男が溜息混じりに文句めいた事を言うと、その隣の幼子が何やら怪しさ満点な様子で必死に首を左右に振っていた。三人の目的を知っている以上、追及する事もないのだが、隠し事が不得手な似通った二人を見ていると、つい意地悪に興が乗ってしまう。
「それは済まない事をした。何やらやけに楽しげな様子だったものでな」
「まあその……物作りって楽しいですよね!光秀さんは今まで何をしていたんですか?」
含みのある様子で肩を軽く竦め、凪の隣へ再び腰を下ろす。明らかに誤魔化していると分かる返しをされた事へ、笑いが零れそうになるのを押し殺した男が、彼女の問いを受けて緩く首を傾げて見せた。
「そういうお前は何をしていたんだ」
「えっ!?わ、私が質問してるのに……というか、その手には乗りませんよ。光秀さんが言ってくれたらほんのちょっとだけ教えます」
質問に対していつもの如く質問返しをされた凪が、眉根をきゅっと寄せて警戒心を露わにする。そこまでむきになって光秀が何をしていたのか訊く事でもないが、後には引けないとばかりに彼女が切り返した。
「俺か、秘密だ」
「秘密って、ずるい…!じゃあ私達も秘密です。ね、臣くん」
「はい、何事も取り引きや交渉は最低限対等でなくては」
「ほうほう、なるほど。ではお前達が容易に口を割らないというなら、別の手を使うとしよう」
「別の手って……」
あっさりと秘密が秘密である事を明かした光秀へ、凪が些か不服そうに眉根を寄せる。光臣を仲間に引き入れる形で話を振れば、長男が当然とばかりに頷いた。