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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



テーブル上に置かれているパーツの中に、竹があるのを目にした凪がそれを手にして光臣と光鴇を見た。やがて三人同時にひとつ頷き合うと、早速作業を開始したのだった。

(やれやれ、何やら三人で悪巧みをしているらしい)

凪と息子達の意思が一つになった一方、頬杖をつきながらその光景を眺めていた光秀が内心で小さく零し、口元へ微かな笑みを乗せる。三人が……というより凪と光臣が幾ら隠し立てしようとも光秀がその真意を見抜けぬ訳がない。何かを作る場所、と耳にした時から生まれ日の贈り物を作ってくれるつもりなのだろうとは察していた。とはいえ、それを口に出す程、光秀とて野暮ではない。

(……さて、俺がこのままここに居ては凪達が物作りに集中出来ないだろう。一度席を外すとしよう)

「凪」
「!は、はい!?」

彼女へおもむろに声をかけると、あからさまにびくりと肩を跳ねさせた凪が光秀の方へ振り返った。その分かりやすい反応へ、つい意地悪に興が乗りそうになるのを堪え、あくまで自然に告げる。

「少し他を見て来る。子らを頼めるか」
「大丈夫ですよ。二人と一緒に作ってるので」

彼女へ息子達を託す風に言い回して、三人だけにしてやる。そうすれば何処か安堵した様子の凪が肩から力を抜き、笑みを浮かべて頷いた。光秀を喜ばせようと不器用ながらも健気にする妻と、子供達へ愛しさがふと湧き上がり、唇に柔らかな弧を描きながら三人それぞれの頭を片手で撫でやった後、光秀が一度その場を立ち去る。

体験コーナーがある奥の工房から店内へと足を向けた光秀は、主にそこに居た女性客達からの熱い眼差しを一身に受けていたが、さして気にした様子もなく先程光鴇と共に眺めていた棚へ意識を向ける。小さな動物達の硝子細工が飾られている棚の隣はどうやら花を象ったものが多く陳列されていた。五百年前の日ノ本では見る事の無い不可思議な形をした花の他にも、光秀自身が見知っている花がちらほら見受けられる。

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