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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



「同感です。体験こーなーなるものがあったのは幸いでした」

弟を間に挟んで凪と光臣がひそひそと声を潜めながら話し合う。目の前にある色とりどりなパーツへ意識を向けていた光鴇が、ふときょろきょろと互いの顔を見てきょとんとした表情をした後、同じく声を潜めて会話に加わった。

「ふたりだけないしょばなし、ずるい!ときもないしょばなし、する」
「わかったわかった、じゃあ絶対内緒にするんだぞ。父上に何を訊かれても秘密だと言う事だ。いいな?」
「ひみつだ!」
「ふふ、今じゃなくてもいいからね。光秀さんに訊かれた時でいいよ」
「わかった、ひみつだ!」
「……まあいいか。では早速軍議と参りましょう」

光臣がこの硝子細工体験を選んだ理由、それは明日に控える光秀の誕生日に渡す為の贈り物を手ずから作る為である。凪が先刻告げた通り、乱世では毎年何かしら手作りのものを子供達と共に贈って来た。どんなものでも家族からもらったものは大切にしてくれる光秀ではあるが、こうして縁あって五百年後の世に来たからには、出来合いのものではなく特別な手作りを贈りたい。そんな母の気持ちを光臣は汲んでくれたという訳だ。

(アクセサリーはお仕事や潜入中、引っ掛かったりしたら大変だし、邪魔にならないものがいいな……去年は臣くん達と一緒に刺繍した手拭いをあげたけど、勿体ないって言って机の引き出しに大事に仕舞われてたし……)

真剣な面持ちで冊子をめくる母と兄に倣い、幼子も眉をわざと顰めてじっと目の前で次々めくられて行くページをじっと見つめる。そうして不意に三人の表情がまったく同じようなものになって、はたと固まった。やがて視線を交わし合い、頷き合う。

「これとこれにしましょう」
「賛成!今年はこれとこれで決まりね」
「さんせい!とき、これやりたい!」

満場一致で決まった三人の手元には、手作り蜻蛉玉を用いた飾り紐が載ったページが開かれていた。そしてその隣のページには、見事な竹細工が幾つか掲載されている。

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