❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
テーブルの上には見本としてストラップやキーホルダー、イヤリングなどが置かれていた。様々な細かいパーツが箱に収められている様を目にして、光臣が不思議そうに目を瞬かせる。体験コーナーは制限時間が二時間となっていて、時間内であれば幾つでも物を作っていいという太っ腹ぶりだ。
見本品の他にもハンドメイド小物やアクセサリー、インテリアなどのハウツー冊子が置かれており、そこに作り方などが細かく丁寧に解説されていた。アクセサリー作り用の細かな作業を行う為の工具も用意されており、凪が二冊あるハウツー本の内、一冊を光秀へ渡す。
「光秀さん、こういう細かいの得意そうですね」
「出来ない事はないだろうが、職人のような精巧さとは程遠い。逆にお前は得意だろう」
「そんな事ないですよ。あるものを自分なりに組み合わせて作っただけなので、こういうちゃんとしたパーツや工具を使うのは初めてです」
元々手先の器用な光秀ならば、細やかな作業も得意だろうと声をかける。むしろ光秀がこなせない事を探す方が難しいというものだ。冊子を受け取りながら男が隣に座った凪を見ると、彼女は緩く首を振ってみせる。乱世では現代のように便利な工具や部品がある訳ではない為、使えそうなものを用いて何とか贈り物などを作って来たが、こういった本格的なものを使用するのは初めての経験だ。冊子をめくりながら果たして何を作るかと思案を巡らせた後、不意に凪が光臣に視線を向ける。
(きっと臣くんならこのアイコンタクトの意味、気付いてくれる筈…!)
目の前に並んでいる完成見本を見ていた少年が、弟を挟んだ向こうに座っている凪の視線に気付いて顔を向けた。そうして出来るだけ父に気付かれぬよう小さく頷き、凪が開いている冊子を軽く身を乗り出して覗き込む。
「例のあれを手作りされるおつもり、ですね?」
「さすが臣くん!そうなの、ずっとどうしようか迷ってて……毎年手作りだから、出来合いのものを贈るのはちょっとなって」