❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
乱世で元雑賀衆の時雨に硝子細工の加工を幾度か頼んだ事があったが、そもそも硝子の質が違うのか、飾られているものはどれも透明感があり、美しい。人の手で作り上げたとは思えない程の精巧さは、五百年という月日と様々な技術的進歩を顕著に感じさせる。父に抱きかかえられた状態で飽きる事なく棚を眺めていた光鴇が、ふと白と黒、二匹で対になる狐の硝子細工を目に留めた。
「あれ、こんこんきつねさん、ちちうえとははうえ」
「母が黒狐か」
「うん、ちちうえがしろ」
白黒の狐の傍に、それよりも二回り小さい白黒の狐の硝子細工が飾られている。並べてみるとまるで親子のようにも見えるそれへ、光秀が微かに口元を綻ばせた。
「お待たせしました。ちょうど今から参加出来るみたいですよ」
「そうか、では向かうとしよう」
「むかうとしよう!」
そうして白黒の狐を眺めていると、受付を済ませた凪達が戻って来る。ちょうど午前の部、最後の組へ滑り込む事が出来たらしく、すぐに参加出来る旨を伝えると、四人は工房へ繋がっている店の奥へと足を向けたのだった。
硝子細工の小物等を展示、販売している店舗ブースの更に奥が体験コーナー用の一室になっていた。広々とした空間には大きなテーブルと椅子が幾つも置かれており、その上には様々なアクセサリーや小物を作る為のパーツ類がボックスに仕切られた状態で用意されている。体験コーナーの参加者は思った以上に多くはなく、凪達を入れて十五名程だ。グループごとに分かれて席に着くと、早速担当者から説明を受ける事になった。
「要するにこのぱーつとやらを好きに組み、自作するという訳だな」
「はい、ストラップ……うーんと巾着とかにつける飾りとか、後はこういう装身具とか、自由に自分で作っていいみたいです。一刻以内だったら一人何個でも作れるそうですよ」
「とき、いっぱいつくる!」
「用意されているぱーつとやらも、とても綺麗ですね」