❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
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光臣希望の硝子工房、浪漫譚(ろまんたん)は今宵宿泊するホテルから徒歩移動圏内の場所にあった。念の為、地図アプリを起動して向かった訳だが、途中で出会った修学旅行生の女子達に光臣が騒がれたり、街角スナップを撮っているカメラマンに光秀が声をかけられたり、横断歩道で待っていた折、隣り合った奥様に光鴇が女の子と間違われ、ときはおのこだよ!と怒る場面があったりと色々大変だったが、それはひとまず割愛とさせて頂く。
乱世の移動は基本的に徒歩だ。ちょっとやそっとの距離で音を上げる子供達では無かったが、あまりの人の多さに後半は別の意味で疲弊気味だったのを見て、帰りはタクシーを使った方がいいかもしれないと凪が考えていた頃、ようやく目的地に到着したのだった。
四百年前から存在する建物をそのままリフォームし、店兼工房として用いている浪漫譚の店先には、小さな棚が幾つか置かれており、そこに愛らしい硝子細工が展示されていた。表に出ていた看板に【体験コーナー午前の部、受付中】の文字を見て早速店内へと足を踏み入れる。明るめの照明が梁天井から吊り下げられ、ディスプレイを惹き立てるように輝かせていた。入り口から入ってすぐ、正面には秋のモチーフをイメージした硝子アクセサリーや小物が飾られている。店内は親子連れの姿もあるが、そのほとんどが女性同士かあるいはカップルであった。
「わあ……可愛いっ」
「きらきら、すごい!」
「ここにあるもの、すべてびーどろで出来ているのですか…?凄いですね…」
「ほう、これは中々に圧巻だな」
店内の内装やディスプレイもさる事ながら、ひとつひとつの作品がどれも美しく、そして繊細で可愛らしい。飾り用の置物や小物、ストラップやバッグチャームも多く取り扱っているが、店の半分近くが女性用のアクセサリー類となっていた。