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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



見出しには大きく【ファミリーで行きたい!とっておきの思い出作り】と書かれている。そうして次のページをめくった瞬間、光鴇の手がひたりと止まった。大きな金色の猫目が二ページの見開きに渡って特集されているそれに釘付けとなる。

「とき、ここがいい!!しょーげつ、いる!」

ぴっと指した場所を三人で覗き込んだ。そこにはライオンや虎、兎に犬、猫、様々な動物の写真と魚の写真などが掲載されている。幼子が照月と言ったのは虎の写真を見ての事だろう。

「これって、動物園?」
「どうぶつえん……とはなんですか?母上」

凪が零した聞き慣れない単語に、光臣が目を瞬かせた。幼子もまた、先程の不機嫌など何処へやら、期待のこもった眼差しできらきらと母を見上げて来る。

「えっと、珍しい動物とかが沢山居て、それを見たり場所によってはご飯あげたり触れたりする場所だよ」
「……その口振りからすると、野生という訳では無さそうだな。人の手で飼われているという事か」
「はい、光秀さんが想像してるような危険な場所じゃないので、安心してください」
「そうか」

乱世にライオンは存在しないが、虎は政宗が飼っている照月を見ている為、知っている。本来は人を襲う事もある生き物だと認識しているとあって些か警戒の色を滲ませた光秀に対し、安心させるよう凪が補足した。

五百年の時を越えるに先立ち、得物はすべて九兵衛へ預けてしまっている。万が一の事があっても身一つで凪や子供達を守るには、限界があるだろうと考えての懸念だ。虎や兎、犬猫はともかく、見た事の無い動物の写真を眺めている光鴇の眸は好奇心で輝いている。隣で写真を覗き込んでいる光臣も、心なしか興味の色を抱いているのを目にして、凪が小さく笑った。そんな中、ぱっと冊子から再び顔を上げた光鴇が大きな猫目を父に注ぐ。

「とき、ちちうえとみんなといっしょにここ、いきたい。だめ?」

こてん、と首を傾げた拍子、高い位置で結っている黒髪がゆらりと揺れた。

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