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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



何事にも関心があるのは決して悪い事ではない。二日という日程では到底周りきれない数の場所を示す幼子へ、凪が言い聞かせるように告げると光鴇が不服そうな表情を浮かべた。

「むっ、あにうえだけずるい」
「臣くんはほら、一箇所だけだったからね」
「じゃあとき、ここがいい」
「うーん、それはバーって言って大人がお酒を飲むところだから、鴇くんにはちょっと早いかな」

光臣の意見がすぐに通った事に対し、自分の意見が通らない事実が不満なのだろう。ぷくっと頬を膨らませた光鴇がむんずと次のページをめくって指差した。ちなみにそこは【カップルやご夫婦にお勧め!夜は京の町でほろ酔い気分】と書かれているアルコールを扱う店や居酒屋、バーなどの特集ページであった。思いきり【大人の夜をリッチに演出!京都の地酒とオリジナルカクテル専門バー】と見出しがある店を指した事に対し、凪が別のページにするよう促す。

「むむむ、ははうえいじわる」
「ええ……」

自分の意見を無碍にされたと文句を述べた幼子の言葉に、何気ショックを受けた凪が眉尻を下げれば、やり取りを眺めていた光秀が肩を揺らして彼女の頭を軽く撫でやった。

「俺はともかく、お前まで意地悪と言われる日が来るとはな」
「うう、光秀さんじゃあるまいし、いじめてないですからね」

父が母を慰めている間にも、光臣が幼子の機嫌を取ろうと冊子を手に取る。よく見えるようわざと弟の膝の上にパンフレットを置き、カラーページをめくって行く。

「ほら鴇、他のところを見てみるといい。この町には二日しか滞在出来ないから、近場以外は行けて一箇所が妥当だ」
「むっ…あにうえはいいよっていわれたのに」
「それは俺の行きたい場所がたまたま宿から近かったからだ。一番行きたい場所を選ばないと後で後悔するぞ」
「むむ」

後悔する、と言われてますます幼子の口がへの字になった。次々にページをめくって行く内、ふと最後の特集ページに入ったらしい。

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