• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



光鴇が嬉しそうに声を上げる。毎年祝いの件で母と相談している光臣も、父らしい言い分に笑みを浮かべた。今回は佐助のひらめきと図らいで現代に来る事となったが、きっと乱世で祝ったとしても変わらぬ幸せを噛み締める筈だ。光秀の言葉に頷いた彼女が、ひとまずパンフレットをめくる。主役が判断を委ねたとなれば、後は子供達に任せるのみだ。

近隣にある小料理店やバー、喫茶店、展示会など様々な観光情報がまとめられている冊子は中々に見応えがある。こちらに戻っていない間にも現代は多様的な進化を遂げており、当時から有名なものもあれば新しい名産となった店の名もあり、時の流れを感じた。

「あ、」

ぱらりとページをめくった先、光臣が小さな声を零す。視線を冊子に向けるとそこは【手作り体験コーナー】と称された特集が組まれているページであった。日本屈指の観光地、京都には観光客向けに様々な伝統工芸品などの製作体験をする事が出来る場所が幾つも存在している。それをまとめた記事なのだろう、対象年齢から当日飛び込み参加の可否、仕上がりまでの時間目安などで細かく分類されていた。

「何か気になるものでもあったか、臣」
「あ、いえ……」
「五百年後の世に来るなど、またとない機会だ。言ってみるといい」

光臣が反応を示した事へ光秀が声をかけると、少年が逡巡した様子で視線を彷徨わせた。何かと遠慮がちで弟を優先する癖がついている長男は、次男と違って少々甘え方が不器用なのである。それを分かってる父が穏やかに促すと、光臣がちらりと凪を見た。光秀によく似た金色の眸と眼差しがぶつかり合い、彼女が紙面に意識を向ける。そうして、何故光臣がこのページに入ってから反応を示したのかを察し、目を瞬かせた。

(そっか、そういう事かあ!)

母の様子を見やり、自分の意図が伝わったらしいと感じた光臣がページの中央に載っているものをそっと指差す。そこには【硝子細工造り体験&硝子細工展】と書かれており、京硝子やヴェネチアンガラスなどを用いた細工ものが写真に写されていた。

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp