• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



「ひとまずお茶にしましょう。それで、二日間何処に行くかの作戦会議です」
「なるほど、軍議という訳か」
「ぐんぎ、する!」
「そういえば先程ふろんととやらで、この色のついた書物を渡されましたよ」
「観光パンフレットかあ。それ見て決めるのもいいかもだね」

トレーに人数分の湯呑茶碗と茶菓子を乗せてソファーへ向かえば、光秀達もそちらへと戻って来た。凪と光鴇を真ん中に座らせ、凪側に光秀が、光鴇側に光臣がそれぞれ腰掛ける。湯呑茶碗などをテーブルの上に置き、光臣がフロントでもらったという観光パンフレットを全員に見えるよう開いた。

「今回は光秀さんの生まれ日祝いも兼ねての旅行なので、まずは光秀さんに希望を訊きたいんですけど……」

ある意味今回の旅行の主役は光秀だ。出来れば彼の希望を一番に叶えたいと思い、隣に座る男をそろりと窺う。だが、優雅に足を組みながら背凭れへ身を預けていた光秀が凪へ視線を流し、口元へ穏やかな微笑を乗せた。

「俺はお前や子らが行きたい場所で構わない」
「う、絶対そう言うと思いました……」
「言葉を交わさずとも意思の疎通が取れるとは、さすがは俺の妻だな」
「だって光秀さん、いつもそう言うから」

光秀がそんな風に返して来るのはいつもの事であり、軽く肩を落として彼女が零す。元々そういった欲がまったく無い光秀は、子供達が生まれる前は凪を、生まれてからは凪と息子二人を何事も優先してくれている。これだけ共に居れば、光秀の返答など聞かずとも予想がつくというものだ。可笑しそうに小さく肩を揺らし、男が妻の頬を指先でひと撫でする。困窮した様子のまま眉尻を下げる凪に向かい、光秀が穏やかな流し目を贈った。

「お前達とこうして共に過ごせるだけで十分だ。何処へ行こうとそれは変わらない」
「ときもみんないっしょ、うれしい!」
「父上らしいと言えばそうかもしれませんね」

(臣くんの言う通り光秀さんらしいな。でもその気持ち、ちょっと分かるかも。私も家族皆で一緒に過ごせるならそれだけで十分幸せだし)

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp