❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
「す、凄い……さすがロイヤルスイート……」
「四人で一晩を明かすには十分だな」
カードキーで開けるタイプの扉がかちゃりとオートロックされた事に、二人の息子達がびくりと肩を跳ねさせる。草履のまま足を踏み入れればそこにはホテルで最高級の部屋と称されるに値するだけの豪華な内装が広がっていた。彼方のコネで彼女の実家が経営するホテルのハイクラススイートに泊まった事はあれど、ここまで豪華なホテルになど、個人的にそうそう泊まる機会などある筈もない。思わず室内の雰囲気に気圧された凪がぽつりと呟く傍らで、光秀もまた周囲を見回しながら告げる。
「ご、五百年後の宿がこのように広いとは驚きました……」
「おへや、いっぱい!」
宿と言えば乱世の宿しか想像出来ない光臣も、予想を遥かに越えた様に目を丸くしてきょろきょろと落ち着かない様子のまま周囲を見回した。光秀の御殿も考えると中々に広いが、和室から洋室に切り替わるだけで広さの印象が変わるらしく、光鴇が興奮した様子ではしゃぐ。
「と、取り敢えず荷物置こっか。お部屋に入る時は草履を脱いで、このスリッパに履き替えてね」
(あ、ちゃんと未就学児が一人居るって伝えてあるから、子供用の小さいスリッパも用意されてる!)
入り口横にあるシューズボックスを開けると、中には真新しい柔らかな素材の黒いもふもふスリッパが人数分収納されている。凪が手本とばかりに草履をシューズボックスの中に収めてからスリッパに履き替えてみせると、子供達も見様見真似で草履を脱いだ。ちなみに年齢的に光鴇は未就学児扱いの為、大人用とは別にきちんと子供用のアメニティが完備されている模様である。
「とき、ぞうり、いちばんうえにいれたい」
「どれ、貸してみろ」
「その拘りは一体なんなんだ……?」
「お前もお望みなら入れてやるが?」
「け、結構です!自分で届くところに入れますから」
「おやおや」
(なんか可愛いなあ……)
凪の言う通り、それぞれ草履を脱いで足袋のまま黒いもふもふのスリッパに履き替えている。