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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



父子三人のほっこりする姿を眺めていた凪が、思い出した様子でスマホを取り出した。食べながら端末を触るのは行儀が悪いとは分かっているが、そもそもこの喫茶店に立ち寄ったのは現代滞在中の宿を決める為だ。オンライン予約で済ませてしまおうと、宿泊情報サイトにアクセスして京都周辺の宿を探す。

(今回は二泊三日だし、京都から出て遠くに行くよりこの辺りで遊んだ方が時間も有意義に使えるかな……でも京都って宿取るの凄く難しいんだよね…あっても凄くお高いところとか…)

「ちちうえ、あーんして。とき、たべさせてあげる」
「お前が食べたくて選んだものだ。俺の事は気にするな」
「きにする。これふわふわ、おいしい。ね、たべて」
「……お前も母にやり口が似て来たか」

凪がスマホのディスプレイに集中しているその横で、幼子が父にシフォンケーキとババロアとクリームを食べさせようとしていた。いつもの如く、気にするなという男に対して尚も食い下がった光鴇が、ずいっとスプーンを差し出して首をこてんと傾げて見せる。その仕草が先程の母そっくりであり、確信犯的なものを感じ取った光秀が観念した様子で甘味を食べた。

(ビジネスホテルは結構あるけど、一人二人しか泊まれないしなあ。家族で来たのにお部屋二部屋に分かれちゃうのは何か寂しいし……でも四人で泊まれるところってやっぱりちょっと…いやかなりお高めだ)

「父上、俺のもどうぞ。この四角い透明なものと蜜を一緒に食べると美味しいです」
「お前が食べろ、と言っても聞かない顔だな」
「勿論です。俺のだけ食べない、なんてそんな事言わないですよね?」
「お前も何処かの誰かに似て来たようだ」
「何の事やら」

検索結果を見てやや難しい顔をしている凪を余所に、今度は光臣が父へ黒蜜がかかった寒天とカットされた黄桃を食べさせようとしていた。弟とは違う方向で攻めて来た兄に肩を竦め、光秀が差し出されるままに甘味を食べる。誰などとは問うべくもなく光秀自身であり、楽しげに笑った光臣が事も無げに言ってのけた。

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