❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第4章 掌中の珠 前編
光臣と光鴇がそれぞれ、抹茶色のアイスをそっとスプーンですくって口に運ぶ。食べた瞬間ひんやりと冷たい感触が口内に広がり、驚いた様子で互いに目を丸くした。兄弟揃ってまったく同じ顔をしている様を見やり、凪と光秀がつい笑みを零す。
「ふふ、二人共同じ顔して固まってる」
「おやおや、ここにも水に足を付けたような猫が二匹も居たとはな」
「つめたくてあまい!しゅってなくなった!あいす、すごい!」
「美味しい……」
口内の熱で呆気なくじんわりと溶ける舌触りの良いアイスクリームは若干甘さ控えめの抹茶味だが、乱世育ちの子供達にとっては十分過ぎる甘さであった。興奮した様子で眸を輝かせる弟に対し、兄も珍しく切れ長の双眸を大きく瞠って感動のままに呟く。光鴇は早速二口目を食べていて、口の周りに黒蜜やらクリームやらがべたべたとつき始めていた。途中で拭いたところできりがないだろうと、暫く好きに食べさせてやる事にした父母が今度は視線を光臣に向ける。寒天やフルーツを粒餡と共にすくって上品に食べているものの、一口食べる度に目を丸くする様は光秀の言う通り、何処となく猫を彷彿とさせた。
(二人共嬉しそう。可愛い!)
初めての五百年後和スイーツへ夢中になっている息子達を見つめながら、凪が胸をきゅんと高鳴らせる。ある程度喜んでもらえる事は想定していたが、予想以上の反応だ。ついつい彼女自身も笑顔になっていると、光秀が正面から柔らかな視線を注いで来る。
「お前は食べなくていいのか」
「…あ、そうですね。いただきます」
凪が頼んだ秋の味覚の栗ワッフルは、ワッフル生地を半分に切り、その中に生クリームと栗、粒餡が挟まれたものであり、傍には味変用なのか抹茶クリームに黒蜜がかかったものが添えられていた。この際、カロリーなどという無粋な事は気にしてはいけない。見るからにふわふわな生地からはほんのりとバニラの香りが漂っており、久し振りに感じる甘い匂いについ口元が綻んでしまう。