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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第4章 掌中の珠 前編



再び意識を正面に座る光秀へ戻し、凪が困り顔で眉尻を下げた。いつも通り悠々とした様子のまま、頬杖をついているだけでやたらと様になる夫が視線で言葉を促す。ぐっと言葉に詰まり唇を引き結んだ後、観念した様子で凪が唇を開きかけたと同時…──────。

「その……」
「お待たせ致しました。黒蜜と抹茶の幸せ白玉ぱふぇ小と抹茶と黒蜜、秋の味覚の栗ワッフル、抹茶と黒蜜ときなこのクリームあんみつでございます」
「!!!?」

ほんのり頬を淡い朱に染めた凪が言葉を発しかけたところで、店員が木製のワゴンに品物を乗せてやって来た。びくりと肩を小さく跳ねさせ、彼女が咄嗟に口を噤むと、光秀が可笑しそうに笑みを零す。品が届いた事で窓の外から興味を一気に引き戻された息子達が、目の前にやって来た未知の甘味を見て眸を輝かせた。それぞれ注文した品がテーブルの上に置かれ、お冷のグラスと水差し、そしてサービスの抹茶が置かれる。伝票をテーブル下のポケットへ差し込むと、一礼して店員が立ち去って行った。

「み、光秀さん…!笑いすぎですっ」

明らかに凪の反応を見てからかっているだろう光秀へ、彼女が不服そうな声を上げる。幸いにも恥ずかしい事を口走る前だったから良かったが、妙な反応をした事は店員も不思議がっている事だろう。文句めいた眼差しを送ったところで男相手に効果などありはしない。くつくつと一頻(ひとしき)り笑った後、たっぷりと揶揄を込めて双眸を眇めた。

「なに、水に足を付けた猫のような反応をするお前が愛らしくてな」
「ははうえ、ねこさんなの?」
「何かあったのですか?母上」

父が発した言葉に、二人の息子達がそれぞれ反応を見せる。光臣辺りは、また母が父にいじめられたのだろうなと予想はついていたが、幼子の質問は純真無垢だ。温かみのある木製のトレーの上に置かれた甘味達へ視線を向け、凪が誤魔化すように二人へ告げる。

「な、なんでもない…!ほら、二人共早く食べないとアイス……上に乗ってる抹茶色の甘味、溶けちゃうよ」

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